今回は慢性便秘症で注意が必要な便秘薬(大腸刺激性下剤)と警告症状についてお話したいと思います。
刺激性下剤は腸管粘膜や壁在神経叢を直接刺激して蠕動を亢進させ、水分吸収を抑制させる効果があります。
刺激性下剤として
・アントラキノン系誘導体
(センノシド、センナ、大黄、アロエなど)
・ジフェノール誘導体
(ピコズルファートナトリウム、ビサコジル)等
があり、市販薬ではコーラック、スルーラック等が含まれます。
刺激性下剤は作用は強力ですが、「長期間連用」すると薬剤耐性が出現し、「更なる難治性の便秘」に繋がることがあるのです。時に精神的依存性を来すこともあり、アントラキノン系誘導体の薬剤の副作用には大腸偽メラノーシスもあるため注意が必要です。
市販薬など自己判断での長期の内服は極力避け、異なる治療薬との組み合わせや選択肢をご相談下さい。
次に慢性便秘症の「警告症状」についてお話します。
・排便習慣の急激な変化
・血便
・6ヵ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少や発熱
・異常な身体所見(腹部腫瘤の触知など)
があげられます。
これらの症状がある場合は特に癌などの腫瘍性疾患や炎症性疾患による二次性便秘の可能性の検討が必要です。
また50歳以上での発症、大腸器質的疾患の既往歴または家族歴は「危険因子」です。
「警告症状」・「危険因子」・「通常の臨床検査での異常所見」のうち、いずれかひとつでもあれば大腸内視鏡検査を行う必要があります。当てはまる方や、定期的な健康診断・血液検査・便潜血検査を受けておられない方はお気軽に外来でご相談下さい。